結論として、予想可能な将来にわたって、中国やインド、もっと規模の小さいアジアの新興工業国、石油輸出国は、ドル資産を吸収せざるをえない。
ドルが急落することがあったとしても、新興市場国ははるかに幅広い分野で開発の利益を得られるのだから、そのリスクをとる価値は十分にある。
こう主張されているのである。
こうした状況は当然ながら、いつまでも続くわけではないが、かなりの長期にわたって続くと主張されている。
ほとんどの議論では、10年から20年続くとされている。
市場の自然の力がいくつか重なって、貿易と投資の流れの安定し一貫したシステムが作られ、アメリカとドルがその中心に位置するとされている。
この全体像をきわめて高い位置から眺めるなら、第2次世界大戦の末期に当時の主要先進国が急いで作り上げたBW体制によく似ている。
このため、新BW体制(BWU)と呼ばれているのである。
ドルの津波懐疑的な向きは、懸念すべき違いがあると指摘する。
当初のBW体制では、アメリカが世界の資金の大部分を保有していて、周辺国は資金を借り入れるために、この体制を承認する必要があった。
新BW体制では、アメリカが中心になっている点では変わりはないが、そのアメリカがいまでは世界最大の借り手になって、通貨は弱く、周辺国が逆に、世界の資金の大部分を保有している。
心配はないと、新BW体制論者は主張する。
現在の周辺国はアメリカに資金を貸す必要に迫られており、この必要は、半世紀前の周辺国がアメリカから資金を借りる必要があったのと変わらないほど切迫しているという。
新BW体制仮説の微妙な魅力のひとつは、政策担当者が責任を負わなくてもよくなる点である。
すべては市場の力の結果であり、しかも、きわめて有利な結果が生まれている。
FRBが実質金利をマイナスに維持する政策をとったのは、外国の貯蓄の潮流が押し寄せてきたからだ。
G議長は自由に金融政策を決める立場にはなく、市場の力で決まっていた政策をとったにすぎない。
アメリカの住宅ブームと借り入れブームは中国の動きから起こったものであり、大きくすばらしい目的があった。
Bの『C』に登場するP博士は、リスボン地震の悲劇について長く、深く考えていけば、すべてが神の慈悲深い計画によるものであることを理解できると考えていた。
だが2007年末には、ドルが下落を続けていて、このような楽観的な想定が通用しにくくなっている。
2002年後半にほぼ一ドルだった1ユーロが、1.47ドルになった。
同じ期間に1ポンドは1.56ドルから2.08ドルになった。
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